989.豊国瑞穂の関係者に対する印象・態度・ひと言など 烏藤すみれ 彼女自身よりもパートナーのシンドゥーラモンと雑談してることのほうが多いです。 電捜課年少組のまとめ役を期待している節があります。 そのため内心で早く身を固めてほしいと思っており、主にプライベートの方面で世話を焼いてこようとするかもしれません。 「すみれちゃんはあの若さで大変だと思うわよ?だから早く佳い人でも見つかるといいんだけど……あらヤダ、今の時代にこんなこと言ったらハラスメントよね?」 明智秀人 彼の正体を把握したうえでとある目的のために黙っています。このことはパートナーであるアンドロマリウモンにも内緒にしています。 あと、PCのことが苦手な瑞穂は分からないことがあると彼に教えてもらっています。 つまり、ほぼ毎日です。 「秀人君にはねえ、ちょっと期待してる役目があるのよ、役目が。」 筧宗介 過去の仕事っぷり問題児っぷりは噂で知っていました。 現状については少し安心しているようです。 マル暴経験があるので彼のような血気盛んなタイプの相手には非常に慣れています。 「宗介君は昔はそりゃもう手が付けられないって評判だったけど、ずいぶんと丸くなったわねえ。私としてはちょっと物足りないけど。」 デジマル デジマルに対しては普通に犬として接していますが、パートナーのアヌビモンには少し警戒しています。 アンドロマリウモンの正体に気づく可能性が非常に高いからです。 故に口調が多少よそよそしくなります。 「デジマルちゃーん、今お仕事してるからちょっと待ってねー。……アヌビモンさん、お散歩、お願いできますでしょうか?」 色井恋夜 過去に選ばれし子供達と敵対していたことについて不安視はしていません。むしろ、だからこそ彼のことを信頼しているフシがあります。 その一方で、彼の烏藤すみれに対する気持ちに感づいていながらそれが成就しないことを望んでいます。 これは個人的な感情に依るものではなく、同一部署内での恋愛や結婚は業務に大きな影響を与えるという理由です。 「ああいう『正義』に悩んだ人こそが警官に必要な資質なのよ。」 ディン BVに出向していることが多いため、あまり接触はありません。 とある理由から瑞穂とアンドロマリウモンはBVメンバーとの直接接触を避ける傾向にあるのでそう言う意味では頼りにしています。 しかし自分と大きく違うタイプかつ今まで周囲にいなかったタイプなので困惑が残っています。 「ディンさんね……私あの人が何考えてるのかよくわかんないのよね。」 園田鉄之助 殉職前のことは一応知っている、程度の認識です。 マル暴やSPから教官になっている瑞穂は鉄之助と一緒に仕事をしたことがないからです。 電捜課周辺で見られる少年が同一人物であることにはまだ感づいていません。 「年長者が生きていたらもうちょっと楽できたのかしらねえ……」 二尾橋源乃 狙撃手でテイマーの警察官は非常に貴重なため、戦力として相当に重要視しています。 それはそれとして、親子ほど年の離れた部下なので、娘のように可愛がりたい気持ちを持ってます。 しかし互いの立場というものがあるので、自制しているのが現状です。 「源乃ちゃん射撃訓練おつかれさま。ちょっと甘いものでも食べない?ついでにベアモンちゃんも。」 竜崎大吾 同じ元マル暴で、瑞穂にとっては最も慣れているタイプの相手です。 つまりかなり一方的に強く出てきます。しかも彼女の柔道スタイル的にいちばんやりやすい相手です。 何かあった時には、半ば楽しそうにお説教しながら始末書を命じるでしょう。 「大吾君、これ、明日までに書いてきてね?復唱!」 笠水紋十郎 彼のような裏方系人材に対しては、「最善を尽くせ」という曖昧な指示だけ出して丸投げにします。 自分が細かく指示するよりもそのほうが結果も効率も良くなると考えているからです。 彼の行動や成果については、彼がやったことだというのは伏せて上に報告します。上層部から無用な注目を集めないためです。 三人のガブモンたちの見分けは全くついていません。 「それじゃこの件は紋十郎君に任せるから。必要があったら連絡ちょうだい、こっちも必要になったら連絡するから。」 「あらやだ、そんなんじゃないってばー、もう。」スマホで通話しながら、豊国瑞穂が警視庁電脳犯罪捜査課のオフィスに入ってきた。 背中にはエリザモンがぶら下がっている。 「じゃ、ありがとねー秀人君、非番なのにごめんねー?」どうやら通話の相手は本日非番の明智秀人であるらしい。 仕事中に何をしてるんだ、とオフィス内の他の者達は思った。 非番である明智と竜崎、朝から外回りをしている笠水、そしてBVに出向しているディン以外の4名がオフィスに詰めている。 「……あ、もしもし、私私。久しぶりねぇ、3日ぶりかしら?」今度は別の相手と通話を始めた。 3日ぶりは久しぶりになるのか?という疑問が一同によぎる。 「それじゃすぐに送るからよろしくねー、じゃっ!……エリちゃぁん?」通話を切ってしばらく画面をいじっていたが、すぐにパートナーデジモンに助けを求める。 「またぁ?いいかげん覚えてよー。」背中のエリザモンがよじよじと頭の上に登ってくる。 「ごめんねー、お母さんトシだから新しいことがなかなか覚えられなくってぇ。」そう言って瑞穂が掲げるスマホにエリザモンの前脚が伸びる。 「こうして、こうで……はい送信完了!」 「ありがとーエリちゃん!……さて。」そこで瑞穂はキッと真面目な顔になって全員の方を見た。 「筧、色井、ニ尾橋、出動よ。」 「「「「!?」」」」命令や指示を出す際、瑞穂は普段のような名前呼びではなく部下を苗字で呼ぶ。 「現場は新宿区新宿二丁目、指定外暴力団の或馬城会、事務所。」 「そこって……デジモン犯罪の可能性ありって言われてる所だったな?」筧宗介がアルケニモンに確認する。 「ええ、そうよ。でも確か……」 「課長、あそこはまだ内偵の最中で情報収集段階のヤマです!」烏藤すみれが立ち上がって言う。 言外に、急にそんなことをしてどういうつもりなのか、大丈夫なのか、と不信感を漏らしているのだ。 「『先行して家宅捜索に向かった竜崎君が手帳を忘れて行った』のよ。」そう言いながら、瑞穂は一冊の警察手帳を色井恋夜に向かって放る。 「えっ、あっ、ちょ、っと!」慌てながらもなんとかそれをキャッチする恋夜。 「竜崎さん、今日は非番じゃ……!!」言いかけて、二尾橋源乃は何かに気づいて言葉を詰まらせる。 同時に、その場の全員が事態を察して表情を変えた。 竜崎が、また非番の日に反社会団体のアジトを潰しに行ってるのだ。 「まあ、『そういうこと』なんで、届けてきてくれないかしら。よろしくお願いね、恋夜君?」 「はっ……はいぃぃぃぃ?」 「烏藤はここで待機、連絡中継とバックアップ!私は東京地裁に行きます。」そう言うと瑞穂は椅子に掛けてあった上着を羽織る。 「捜査令状はオンラインでさっき申請したけど、事が事だから私が頭を下げに行かなきゃいけないでしょ?」 「あっ……」 「急いでちょうだい、もうちょっとで大吾君が到着しちゃうわよ。」そう言い残すと瑞穂とエリザモンはオフィスを出ていった。 「…………え?まだはじまってないの?」すみれの呆気にとられたような声が響く中、他の面子は出動準備を慌ただしく済ませていった。 「それで、間に合ったんですか?」日が傾き夕刻に差し掛かった頃合い、霞が関にある東京地裁と隣接する警視庁本庁の間にある歩道。 少し先に桜田門と凱旋濠が見えるその場所で、瑞穂と並んで歩く私服の男性がいた。 本日非番であるはずの、明智秀人である。 「なんとかね。大吾君が中に突っ込んだ直後に三人が到着、ほぼ同時に令状が転送、ギリギリってところだったわ。」 「……毎度毎度、俺と竜崎さんの非番が重なるとは限りませんよ?」にへら~としている瑞穂に対し、険しい表情の明智。 「そんなのわかってるわよぉ、そんな顔しないで。」言いながら瑞穂は明智の背中をバシバシと叩く。 「今日は『たまたま』あなたが大吾君を見てるだろうなー、って思ったから教えてね、って言ったのよ。」 その言葉に明智は心底嫌そうな顔をする。 「大丈夫大丈夫、私だって大吾君のアレを全部なんとかできるとは思ってないから!それにね?」 瑞穂は明智の前に回り込んで両手首を掴んだ。傍からは握手でもしてるかのように見えるような姿勢で。 しかし、瑞穂の両腕はまるで鋼鉄のように明智の手首を固めており、まるで動くことができない。 「あなたの代わりは『こっち』でも『あっち』でもいるんだから、無理しなくていいのよ?」 「!!」暗に瑞穂が言わんとすることを明智は察した。 「だからあなたは、誰かのためじゃなくて、自分のために最善と思う事をしなさい。」 あいつらはあなたを簡単に切り捨てる。我々も必要ならあなたを処断する用意はある。 だから、生き残りたいのならどうすればいいのか分かってるでしょ、と。 「さて、私は新橋のオフィスに戻るわ。やることがいっぱいできちゃった。」 翌日、電捜課オフィス。出勤してきた竜崎の前に、瑞穂がにこやかな笑顔で立ちはだかった。 「あ……課長、おはようございます。」昨日の出来事への困惑が抜けていない彼は、やや引き気味に挨拶をする。 「おはよう大吾君!さて、昨日はおつかれさま。」そう言いつつ、二つの書類束を彼に手渡す。 「あの……これは?」その質問を無視するように瑞穂は言葉を続ける。 「昨日の件なら正式な捜査扱いになったのでそれについて大吾君へのお咎めはありません。」 代わりに自分がいくつもの始末書や謝罪文を昨夜の間に書き上げたことは言わない。 「はぁ……」予想外の状況になんと言っていいか分からず、竜崎は曖昧な返事をする。 「その代わり、正式な捜査活動になったので報告書を提出してね?コレ、課長命令だから。」 「はぁ……はい?今なんと?」我が耳を疑って訊き返すが、それに瑞穂は構わずに続行する。 「あと、捜査時の手帳不携帯の件についても始末書、出してちょうだいね。」 「はいいいいい?」更に予想外の方向からの攻撃に、素っ頓狂な声が出てしまった。 「今渡したのが記入用紙だから、今日中に、手書きでね?」 「ちょっと待ってください課長!」 「課長命令よ、大吾君?」そう言って瑞穂は竜崎の横をすり抜けてオフィスの外に出る。 「課長どちらへ!?」 「ちょっと本庁に行ってくるから!それじゃすみれちゃん、あとよろしく~。」 右手をひらひらと振り、左手にブリーフケースを提げて、瑞穂はそのまま出ていってしまった。 彼女には、昨夜書き上げた始末書などを本庁に提出し、関係各位に行脚して詫びを入れる仕事が待っているのだ。 (了) おまけ 瑞穂が電捜課長として着任した翌日。 「久しぶりね、倫太郎君!」着任後の挨拶に行った豊洲のデジ対で、彼女は懐かしい顔を見つけた。 「お久しぶりです、さく……豊国先輩、いえ、今は豊国警部、でしたっけ。」 芦原倫太郎は敬礼をしたが、瑞穂はその手を強引に下ろして握手をさせる。 「何そんな畏まっちゃってるのよ、今の倫太郎君は警察官じゃないんだから。」 「いえ、しかし……」言い淀む倫太郎。 「昔みたいに『みずほセンパイ』って呼んでもいいのよ?」 「そりゃ豊国さんが無理矢理言わせてたんでしょうが!だいたいお互いの歳考えてくださいよ!」 愉快そうな瑞穂に対し、眉をひそめる倫太郎。その様子に、芦原ドウモンは訝しむような顔をする。 「倫太郎さん、そちらの方は……?」 「ああドウモン、この人はな、今度電捜課の課長に就任した豊国警部だ。」 「ああ、この前連絡があった……」その連絡を受けた時、夫の様子が少し変だったことをドウモンは思い出した。 どうやら夫とこの女性は知り合いなようだ。倫太郎が以前は警視庁にいたことを考えたら当然ではあるのだが。 「あらあら、このデジモンが倫太郎君の奥さん?はじめまして、お宅の旦那さんの元同僚の、豊国といいます。よろしくお願いしますね。」 「あっ、私はドウモンといいます、こちらこそよろしくお願いします。」互いにお辞儀をする。 「この人はな、俺が新人だった時に指導役だった先輩だったんだ。」 「ああなるほど……それはうちの主人がお世話になりました。」倫太郎の説明に、再び深々と頭を下げるドウモン。 「あらあらそんな、お世話だなんて。こちらこそ、あなたのお噂はかねがね。倫太郎君もこんな美人な奥さん貰って、隅に置けないわねえ。」 「あら美人だなんて、そんな。」 「こっちは私のパートナーのエリちゃん……エリザモン。」 「よろしく~」瑞穂の背中から乗り出してきたピンクのデジモンが前脚を振る。 「よろしくです、エリザモン……ん?」そう返事したドウモンであったが、何か違和感を感じているようだ。 「あ、そうそう、コレ私が作ってきたカップケーキなの!よかったら皆さんで食べて!」 「おや、これはご丁寧に。ありがとうございます。皆でいただきます。」 破顔して紙袋を受け取るドウモンに対し、倫太郎の表情はサングラスに隠れてよく見えなかった。 瑞穂が退出すると、倫太郎は置いてあった紙袋を手にした。 「こいつは俺が捨てておく。」 「え?何を言っているのです倫太郎!?せっかく豊国さんが持ってきてくださった……」困惑するドウモンに、倫太郎はぴくりと片眉を跳ねさせる。 「そうだな、口で言うより直接見た方が早いか。」紙袋の中から小さな包みを倫太郎が取り出す。 かわいく包装されたそれを開封した途端、ドウモンの眉根が寄った。 「うっ!……こ、これは……」袖口で鼻先を覆うドウモン。 「分かっただろう?豊国先輩はな、料理が壊滅的にダメなんだ。」説明する倫太郎の方も、かすかに漂う異臭に思わず空いている手で鼻をつまむ。 「旦那さんはちゃんこ鍋の店を経営してて、料理のプロなんだが……ついぞ先輩のメシマズは直せなかったんだよ。」 「ええ……」 「計量は目分量、足りない食材はとりあえず別のもので代用、レシピは適当に省略、挙句の果てに味見をしない……」 倫太郎の言葉に困惑を深めつつ、そういうことを知っている程度には仲がよかったのだろうか、とも思う。 「これ……食べないほうがいいですわね?」 「当然だ。全く……俺の嫁さんは料理上手で本当に良かったよ。」その一言にドウモンの顔色が変わる。 「!……んもう!倫太郎さんったら♡褒めても何も出ないわよ♡♡」ついでに瞳の中もハート形になっている。 「口ではそう言っても何かもういろいろ出てないか!?」困ったような、しかしまんざらでもなさそうな彼の表情は、サングラスだけでは隠しきれなくなっていた。 (了) 豊国瑞穂の印象・態度・ひと言など:芦原倫太郎 彼が新人警官として最初の配属先にいたのが瑞穂です。先輩として何かと親身になって世話していました。 それとなくアプローチを仕掛けたこともありますが、彼女の手料理がすべてをご破算にしました。 今では完全に普通の仕事仲間として見ています。電捜課に着任するまでは年賀状をやり取りする程度の付き合いが続いていました。 「倫太郎君はねえ、そりゃもう頼りになるんだから。彼に任せてたらだいたいオッケーよ。」