サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「まさかこの街で急ぎの依頼が入るとはのぅ…」
「じゃが泊りがけは盲点じゃったな、確かにそれならここに通えるか」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
先日と同じように薬湯漬けになりながらプカプカ
ラケルナ [浴場3]
隅っこで手早く身体を清め、同じく隅っこの目立たない人気のない湯舟に浸かり傷の治癒に期待する。この身体に後悔はないが、傷だらけの肌はみだりに見せるものではないくらい理解している。
今日選んだ浴場は薬湯とやらがあるらしい、人もいなさそうに見えたからやってきて。
「あ、どうも」
先約がいた。
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「おや、こんばんは」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ふむ。ワシは…邪魔になってしまうかの?」
一人で入りたい?と聞いている
ラケルナ [浴場3]
「いえ、そんなことは。むしろ私が邪魔になるのではないかなと」
この傷だからなあ、と自分の身体を少し見る。
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ワシは気にせんよ。邪魔でないならよかった」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
傷だらけの身体については冒険者なら見慣れている
特に思うところもないようだった
ラケルナ [浴場3]
「こちらこそ。お邪魔します」
会釈をしながら薬湯に浸かる。沁みる。イ~~~ってなる。
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「カカッ、痛むか?」
その様子と外見年齢的に初めて薬湯に入ったんだろうな、と
ラケルナ [浴場3]
「はい……傷に効くと番台さんに教えて頂いたんですが」
「う~~~~~」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「治癒の奇跡や魔法のようにすぐ治る、という性質ではないからの」
「じゃが慣れると心地よくなってくるぞ」
ラケルナ [浴場3]
「本当ですか?」
なら我慢しよう……。
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「体力や疲労の回復、古傷の痛み…そういうのに効く」
ラケルナ [浴場3]
「戦いっぱなしなので、効果があると嬉しいです。どれが古傷かは分かんないですが」
太腿と脇腹はよく刺すからこのあたりは古傷ではきっとないんだろうけど。
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「古傷がわからんほど戦っておるのか」
「年齢を聞いてもよいかの?」
老体特有の話好きと興味本位
ラケルナ [浴場3]
「13です」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「13」
おっと…ワシと同じで若く見えるだけで成人くらいはしてると判断しておったんじゃが…
ラケルナ [浴場3]
「はい」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「随分と…修羅場をくぐったんじゃな」
だが本人が気にしている風ではない。ここで遠慮するのも違うか
ラケルナ [浴場3]
「そうなんでしょうか?いつも自傷してるのでどれが自分で付けた傷か敵の攻撃で出来た傷なのか判別つかないんですよね」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「自傷?……|闇狩《ダークハンター》か?」
それではこの傷の説明が苦しいと思いながら
ラケルナ [浴場3]
「ラルヴァです」
事も無げに答えた。
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「…………お主」
「あっさりと種族を…ラルヴァを名乗るんじゃな」
ラケルナ [浴場3]
「恥ずべきものであることは理解していますが」
「戦闘スタイル上、蛮族かアンデッドと遭遇したらバレますし」
「騙してたのか!とか後から揉めるくらいなら最初から提示した方がマシです」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「…」
「血の力を隠して戦うという選択肢は?ラルヴァと明かせば忌避されることも多かったのではないか?」
ラケルナ [浴場3]
「それで組むの断られても、冒険者ギルドは一定の配慮をしてくれますしね」
私自身の素行が悪いせいではない、ということを保証してくれる程度の配慮だが。
「ありません」
きっぱりと。
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「……理由は?」
常になく踏み込んだのは、彼女にあまりにも迷いがなかったからだろうか
ラケルナ [浴場3]
「急いで、強くならければなりません。可能な限りはやく、頂へと手を掛けるために」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ノスフェラトゥ討伐、か」
ラケルナ [浴場3]
「はい、なるべく多くを狩れるヴァンパイアハンターに」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
なるほど。この娘は…ワシとは違う道を
最短距離を行くために、その道を選んだのか
ラケルナ [浴場3]
「リスクは承知の上です。種族のことも、生死のことも」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
聞かなくとも分かる
それを決意させる何事かがあったのだ
ラケルナ [浴場3]
「この身に流れる血は穢れていて、厭われるものですが。けれど同じ穢れを狩るためになら十分以上の力を発揮してくれます」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
そうでなければ、13と言う若さ…いや幼さで
険しすぎる道を行くはずがなかった
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ああ…そうじゃろうな」
ラケルナ [浴場3]
「使えるものは、使います。それだけです。私は」
「あなたの仰るように、忌避されることも多いですが……構いません。当然の反応でしょう」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「…お主の名を、聞いてもいいかの?」
ラケルナ [浴場3]
「ラケルナ、と。ですがこれは、本来の名ではありません。賜っていないので」
ラケルナ。外套。いつか脱ぎ去り捨て去るための仮初の名。
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ラケルナ、じゃな」
本来の名ではないことにも事情があるのだろう
ラルヴァの生まれを考えれば当然か
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ワシはソロモンという。ラケルナや、これは……文字通りの老婆心からの言葉じゃが」
ラケルナ [浴場3]
「はい、なんでしょうソロモンさん」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ラケルナ。その背中を安心して預けることができる仲間はおるか?」
その戦闘スタイルから多分いないと思いながらも確認
いたら謝ればいい
ラケルナ [浴場3]
「残念ながら、中々ラルヴァと行動を共にしたいという奇特な方はいませんね」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「じゃろうな。だが、探した方がいい」
「長い寿命の半分程度を使ったとしても…」
ラケルナ [浴場3]
「戦闘スタイルのせいかもしれませんけど」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「その価値がある」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ラケルナ。例えお主が伝説の英雄になったとしても、一人でノスフェラトゥを狩り続けるのは無理じゃ」
ラケルナ [浴場3]
「──その時間は、ありません。残念ですが」
「私の時間ではないんです。重要なのは」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「……待たせておるものがいるか」
ラケルナ [浴場3]
「ラルヴァことも、ご存じでしたらある程度は知識があるとお見受けしますが」
「私の母は、ノスフェラトゥによって心を壊されてしまいました。幸運にも助け出されて世話を見てくれる人のおかげで生き長らえていますが」
「私も、城を出るまでは母のお世話をしていました。……年々、痩せ細っています。当然でしょうね、寝たきりなんですから」
「母の心をどうすれば取り戻せるのか、分かりません。ですが私に出来ることがあるとすれば、それは母を傷つけたノスフェラトゥという種を、私の力が命が許す限り狩り続けることでしょう」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
お主がすべき事は母の治療に専念することじゃ、とか
ノスフェラトゥを多く狩ったところで母の心が治ることはない、とか
言うことはできた
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
だが、言って何になる?
それを突き付けて…この娘が少しでも救われ、”正しい”道に行くか?
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
ワシの母が生きておって、同じ境遇だったなら
この娘と同じことをしなかったのか?
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
だから─────
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「それでも、じゃ」
ラケルナ [浴場3]
「はい」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「探すのじゃ。仲間を」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「お主一人が強くなる速度より、仲間がいて強くなれる速度の方が」
「ずっと早い」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
彼女の理に合わせて、言い方を変えることにした
ラケルナ [浴場3]
「分かっています」
ラケルナは、馬鹿ではない。不都合に、敢えて目を瞑ることはあっても。
「分かっています。絶対、その方がいいだなんてことは」
「でも……仕方ないじゃないですか。ラルヴァなんですよ、私」
「蛮族です。ここは、人族の領域です」
「どうしたって、嫌われ者ではみだし者です」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ラルヴァにとって、酷くて。難しくて」
「理想みたいなことを言っているのは…」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「痛いほど、わかっておるよ」
その口が小さく開かれて、一瞬だけ牙が晒された
ラケルナ [浴場3]
「!」
「ソロモンさん、それは……」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「じゃが」
続く言葉を遮るように
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「嫌われ者だろうが、蛮族だろうが」
「受け入れるバカみたいなお人好しは」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「…案外、いるものじゃ」
ラケルナ [浴場3]
「羨ましいです、それは。素直に」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「時間がないからと、最短距離を行きたい理由はわかる」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「じゃが。じゃがの」
「"遠回りこそが近道"な事がある」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「……ワシは、ラケルナが行きたい道はそうじゃと思う」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「…………すまなかったのう。老人の戯言にしては、踏み込みすぎた」
湯舟から一度立ち上がって、頭を下げます
ラケルナ [浴場3]
「いえ、そんなことは。頭を上げてください、ソロモンさん」
「……ご同輩の、先輩の言葉は無下にはできません」
「正直に言いますと。寂しいなと思うこともあります。連れ合いがいる冒険者は珍しくない」
「いいなあ……って」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「カカッ」
思わず笑みが出てしまった
年相応の、純粋な言葉が出たように思えて
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「っと、そうじゃな。なんとも幸せそうじゃよな…」
同意
ラケルナ [浴場3]
「ソロモンさんも、そうだった時があったんですよね」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「あったのう。遠い遠い昔の話じゃが」
ラケルナ [浴場3]
「信じます、あなたを」
「秘していたものを明かすことは、大変勇気のいることでしょう。会ったばかりの私のために、そんなことをしてくれたあなたの心に報いるために、信じます」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ワシは…老い先短い身。老体が表舞台で出しゃばるなど、と思っておる」
「じゃからあまり、こういう口出しをしたくはなかったんじゃが」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「信じられて…しまったか」
ラケルナ [浴場3]
「だって隠しているんでしょう、本来は」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ああ。今でこそ冒険者たちの活躍で、蛮族であっても冒険者をやれぬ事はなくなったが」
「昔は、今よりも少しだけ当たりが強かったからの」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「基本的には隠して、大事な相手にだけ打ち明ける方が都合がよかった」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「そのためにいろいろと手を出して…と。ワシの事はいいんじゃ」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ラケルナ。信じられてしまったなら…しょうがないの」
「必要ならワシを呼べ。可能な範囲で手を貸そう」
ラケルナ [浴場3]
「……いいんですか?」
そうは見えないが老体と自分で言うほどだ、一線からは退いているのかと思っていた。
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ここまで明かされて、信じられて」
「応えなかったら…かつての仲間に殴られてしまうからの」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「とはいえ老体というのは謙遜でもなんでもない」
「あまり期待はするでないぞ」
ラケルナ [浴場3]
「しすぎますよ」
「成し遂げたことがあるんでしょう、ソロモンさんは」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「ワシ一人の力だけでは不可能じゃった」
「それだけは言っておく」
助力はするけど、平行して仲間探しもしてね!の意
ラケルナ [浴場3]
「……はい」
「いつか、私とともにいてくれる仲間が出来たら」
「その時に、ソロモンさんの力を借ります。そして紹介したいと思います」
「あなたのお陰で、素敵な仲間が出来ましたと」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
「……」
サンスベリア=ソロモン [浴場3]
カカッ、と
答えるようなその笑みには、どんな意味があったのやら…