「ごめん……り…おん…エネルギー切れ…み…た……い…」 膝をついたドルゴラモンの姿が、倒れながら一気にキーモンまで戻る。 「そんな…むらさきちゃん!おきてよ!」 今にも泣きそうになりながら彼女に駆け寄った理音に、クロノモンの砲口が向けられた。 「オメガモン!」 「わかっている!」 アイメが叫ぶよりも先に、オメガモンモノクロームが放たれた砲撃から左肩の盾を使い彼女を護った。 あの赤いデジヴァイス”ハイパーデジヴァイス”の力で二人は繋がっているからこそ、こうして動く事ができる。 僕はその一部始終を、ただ茫然と立ち尽くしながら見ていることしかできなかった。 「ヴェンナ、もう…私たちだけしか…オメガモンしか戦えない」 「アイメ…まさか」 彼女は何かを決意したような目で、僕の方を見た。 「ダメだ!リバースを使ったら今度こそどうなるか!?」 「これしかないんだよ。クロノモンを倒すには、これしか。」 「そんなことない!オメガモンも止めてくれ!」 そんなことない。なんてことは、欠片も思えるような状況ではなかった。 仲間たちは半分以上がクロノモンに無理やりどこかの世界に飛ばされた。残ったみんなのデジモンも、消滅してしまったり、良くても理音のパートナーのように戦闘不能だ。 アイメの言った通り、もう、これしかなかった。 「ハイパーコネクション:リバース、アクティベート!」 彼女がハイパーデジヴァイスを掲げそう叫ぶと、そこから発せられていた光が、彼女の頭に逆流していく。 「フィンガーボム。」 それを見てさっさと始末をつけてしまおうと思ったのだろう、クロノモンは僕たちを狙って、指先から無数の弾丸を飛ばしてくる。 アイメが危ない。考えるより先に体が動く。 「ぐぁっ……!」 妹を覆い被さるようにして抱きしめた背中に、何かが突き刺さったような痛みが走った。 「アル兄!?」 「アイメ…大丈…夫…?」 死ぬほど痛い。熱い。汗とは違う、ぬるりとしたものが背中に広がっていくのを感じる。 でも、アイメは大丈夫だったみたいだ。 体から急に力が抜けて、僕は倒れ込んだ。 「よくも…許さない…オメガモン!クロノモンを…倒すよ!」 「…ああ!」 オメガモンモノクロームのマントが一瞬光って、白い2対の翼が広がる。 剣の文字が書き換わると、翼から羽毛が舞い落ちた。 「クロノデヴォリューション。」 クロノモンの体からエネルギー波のようなものが放出されたが、オメガモンは翼を軽く羽ばたかせるだけでそれをかき消す。 「グレイ…ブラスター!」 オメガモンの左腕から放たれるいつもの数十倍ほどの太さの光線が、クロノモンの片腕を貫いた。 それだけで終わるはずもなく、羽ばたきで急速に接近したオメガモンは、右腕の剣を深々とクロノモンの胸に突き立てる。 「アブソリュート・オブリビオン!」 眩かった剣の文字の光が、相手の体に流れ込むように少しづつ消えていく。 それと共に、クロノモンの体も端の方からほどけるように薄れていった。 これが、オメガモンモノクロームの最強の力。 アイメが犠牲を払うことによってもたらされる力だ。 横を見ると、デジヴァイスは光を失い、アイメも座り込んでいた。 「アイ…メ…!」 今度は何を捧げてしまったのだろう。 また抱きしめてやりたいのに、体が動かない。 こんな状況なのにとても眠い。 ダメだ…なん…… ───────── 「……!」 いつの間にか眠っていたらしい。 嫌な夢を見た。 あの日、次に目覚めた時にはクロノモンはとっくに消え去っていて、私たちの事をオメガモンが護ってくれていた。 あの日から私は何かを忘れる事ができなくなり、アイメは代償として記憶を失ってオメガモンが誰であるのかを忘れ去っていた。 あの瞬間のことも忘れることはできない。こうして、何度も何度も夢に見る。 『Ladies and gentlemen, we are beginning our final descent. Please fasten your seatbelt and return your seat and table to the upright position.』 水を貰いたいところだが、もうすぐ着陸姿勢に入るようだ、諦めよう。 今私はUNDOのトップとして、自分達が選ばれし子供になった国…日本への飛行機に登場していた。 今回の大きな目的は、あの時の仲間にもう一度会うこと、UNDOの日本での業務開始に立ち会うこと、そして…とある囚人に面会することだった。 ━━━━━━━━━ 『罪なんて償わなくて良いよ…!もっと…私と一緒にいてよ…』 『…ごめんね、ほむら。』 『お母さん…!!』 『ほむら、あなたは戦わなくていい。私のようになってはいけないわ。…あなたのこと…どこにいてもずっと見てるから。…ねぇ、ブラックシャウトモン。』 『な…なんだ?』 『ほむらの事、頼んだわよ。』 『…おうよ!』 ─────私が出頭して、どれほど経ったのだろう。 最初こそ事情聴取やらなにやらがあったけれど、今はただ何をさせられるわけでもなく、ただ、起きて、食事をし、眠るだけの生活を送っている。 私の記憶では拘置所で生活する期間はそう長くないはずだけれど、一体どうなっているのかしら。 起訴の通知もないし、裁判も始まっていないらしい。 あまりにも変わらない日々に、私は日時の感覚を奪われていた。 ある意味、これも裁きの一つであるのかもしれない。そう考えるほどに、何も起きなかった。 「ほむら…」 誰と話しているわけでもないのに、つい声に出た。 かつてこの名前に感じるのは、自分の罪を思い出させられる苦痛だけだった。 今感じるものはそれだけじゃない。 娘の事を想う心…そんなものが自分の中に存在している事に驚くが、確かにそれは私の中にある心だった。 ───────── 「─────はい。件の囚人はこの先に。」 「ありがとうございます。ここからは私だけで結構です。」 「しかし…いくら従順であると言っても、最高レベルの危険度として扱うよう上に通達されています。夜城沼さんに万が一の事があれば…」 「問題ありません。いざという事があったとしても、私達で対応可能です。」 「……わかりました。」 独房の外から、誰かが話している声が聞こえた。 片方は、いつも私に食事を持ってきたり、点呼したりする刑務官の声だ。 もう片方の感情を塗りつぶしたような声には聞き覚えがない。 「八重練・H・鏡華さん…で、いらっしゃいますね。」 数度のノックの後、その声の主は扉越しに私に話しかけてきた。 「…ええ、そうよ。できれば…出海鏡花と呼んで欲しいわ。」 「私は、アルトゥール・夜城沼と申します。お話をお聞かせ願えますか?」 「取り調べ…ということかしら?それならば、普通は刑務官がここまで来て、あなたのような人は取調室で待っているものだと思うのだけれど。」 「私達には少し特殊な事情がありまして。ご同行願えますね?」 アルトゥールと名乗った彼は、そう言うと扉の鍵を開けた。 「驚いたわね…鍵まで渡されているの?」 「少しお話をさせていただいたところ、任せていただける、とのことでしたので。」 彼はやけに背の高い、整った顔をした金髪の男だった。 彼は慣れた手つきで私に手錠をかけると、そのまま取調室へと向かった。 ───────── 「さて、調書は一通り記憶していますが、念の為、直接貴女からお聞きしたい。貴女は、どのような罪を重ねてきたのでしょうか?」 座り心地のよくない椅子に腰掛けるなり、夜城沼はそう切り出した。 私は言われるがままに、私が今まで何をしてきたのか、死者を蘇生させるため、錬金術の研究のため、どれほどの数の人間を犠牲にしてきたのか、 FE社が一体どのような会社であったのかまで、知る限りのことを全て話した。 ただ、ほむらのこと、そして錬金術の詳細だけは決して話さなかった。それらが知れ渡れば、必ずよからぬことに使われるのが目に見えている。何せ、私は悪用した側だ。 「─────ふむ。調書と相違はないようですね。」 この男、手元に資料を用意する様子もなく、私の発言を記録する様子もない。記憶しているとは言っていたが…本当に一字一句記憶していると言うの? 「では、こちらから貴女の現状についてお話させていただきたいと思います。まず、貴女が研究で消費したという人間ですが、基本的には行方不明、もしくは交通事故、病気等での死者になっています。」 「それは隠蔽工作の影響のはずよ。ちゃんと調べなさい。」 「もちろん日本警察だけでなく、私共の方でも調査させていただきましたが、貴女が誘拐、または実験で使用したと供述した日時よりも後に生活していた証拠が何件か発見されています。」 一体どういうこと?そんなことはありえない。 「次に…FE社という企業は存在しません。」 「……今なんて?」 「この国だけでなく、どの国のどの時期においても、です。同様に、CEOを務めているとされた人物も存在したという記録はありません。」 「な…何を…言っている…の…かしら…」 「その心中、お察しいたします。貴女を取り巻く状況は、非常に面倒なことになっている。」 彼が言うところによれば、私が供述した内容は全て現実に沿わないものになっているらしい。 あの会社も、私があの会社でしてきたことも、なかったことになっている。 …まさか、ほむらも?いや、そんなはずはない。あの子の誕生は私がFE社と関わる遥か以前に起きている。あの子が消えたはずなんてない。そう信じたい。 「……全く、本当に面倒な話ね。」 「ですが、私は貴女の証言を信用します。」 夜城沼はそう言って、私に目を合わせてきた。 「私はこの現状を、”なんらかの時空改変によるもの”と考えています。」 「…急に面白いことを言い出すのね。」 「私はかつて、選ばれし子供としてクロノモンと戦いました。奴を倒した後に感じたものは…この件から受ける感覚と同じです。」 クロノモン。確か…悟といったか、うちの会社にもクロノモンを使えるテイマーがいたわね。 デジタルワールドのシステム面に深く関わる個体もいて、確か時を司ると聞くけれど…その影響を受けていると言うことなのかしら、この男は。 「有り体に言ってしまえば、違和感を覚えるというだけの話です。」 「…あなたの違和感を、信じろというのかしら。」 「信じてくださらなくても結構です。ですが…貴女は今、存在しない会社で起きていた存在しない悪事を語っている人間となっている事は、お忘れの無きよう。」 「そんな女を、なぜ警察はこうして捕まえているのかしら?」 「日本警察内部での貴女の扱いが、トップクラスの危険人物かつ重要人物になっているからです。まるで、貴女の証言が全て真実であるかのように。」 「なるほど…ね。それを覆すのは面倒と、そう言うことかしら?」 「ええ。貴女の扱いには日本警察も困っているようです。だから、私に話が回ってきたのでしょう。」 やはり…ね。 今の言い方で確信が持てた。この男は警察ではない。 …今のは口を滑らせたわけじゃない。多分わざと気付くように話したわね。 「…あなた、何者?」 彼は私の疑問に答える代わりに、一枚のカードを見せた。 「申し遅れました。わたくし、United Nations Digimon Organization Director General、Artur・Yaginumaと申します。」 日本語で言うならば…国連デジモン機関かしら。国連に専門機関ができるなんて、デジモンも有名になったものね。 「我々はデジモン犯罪に対処する国際組織、貴女はデジモン犯罪者でもありますから、我々に対処する権限があります。」 「へぇ…でも、日本警察にもデジモンに対応する部署があったはずね。いい顔されないんじゃないかしら?」 「管轄、ナワバリ。そう言った要らぬプライドが平和を遠ざけている。あなたもそう思いませんか?我々はあくまで世界平和を目指す組織、現地国機関の思惑は関係ありません。」 平和…ね、雲を掴むようなことを言う男。 「ともあれ、貴女には我々にご協力いただきたい。それが貴女の望むことのはずだ。」 「協力?私が?あなたたちに?なぜそんなことを望むと思ったのかしら?私はむしろ、平和とは対局の存在だと思うのだけれど。」 「貴女ほどの力があれば、こんな一般的な人間向けの拘束設備は容易に突破できてしまうはず。しかし、そうはしなかった。貴女は贖罪意識を抱えているはずだ。そもそも、それがなければ自首などする必要がない。違いますか?」 「…正解よ。でも、協力することはできない。調書にも書いてあるはずだけれど、私のデジモン研究や錬金術の詳細については、エルダーワイズモンに全て任せていたの。彼は崩壊の時に死んだ。私にはあなた達に貸す手がないの。彼がいなければ私はただの人間。性根の捻じ曲がった…ね。」 これは嘘。私は研究の全てを記憶している。 例え目的が平和であろうと、私が作り上げた鏡花流錬金術式を渡す気はない。あれは広めてはならない物だ。 エルダーワイズモン。彼の死を…私は言い訳に利用した。私は…彼に助けられてばかりだ。 「…ご協力いただけないと。」 「ええ。そう言ったでしょう?」 「では、少々激しい手段に出させていただきます。」 その次の瞬間、私を強い眠気が襲った。 「何よ…っ…これ…!」 夜城沼の手元を見ると、見たこともない赤いデバイスが握られていた。 だめね…思考がまとまらない…!逃げるか戦うか…しないと…! そう思って立ちあがろうとしたはずが、私の体は床に叩きつけられていた。 攻撃された…!?違う…体が上手く動いてない…! 私のこの体に効く攻撃なんて…デジモンでもそうそうないはず…どうして…!? 「あまり抵抗しない方が身のためかと。ブレモンのカードの力で貴女の神経の接続を直接切り離させていただきましたから。」 アプモンのカード…!まず…意識が…もう…もたな… 「ほ……む………ら────── ━━━━━━━━━ 「ほ……む………ら────── そう言い残し、彼女は眠りについたようだ。 しかし何の事だ?記憶している限り、この日本語の意味は揺れる炎を意味するか、もしくは人名だ。戸籍等の資料に該当する名称はないはず。後で調査を命じるべきだろうか。 …今は対象の回収が先だ。 彼女を抱え、ライセンスカードの表面を素早く二度叩く。 すると目の前にある壁が一瞬歪み、そこが組み変わるようにしてゲートが開いた。 「お疲れ様です、局長。」 「コード442をお連れしました。既に無力化を実行済みです。チェック完了次第、セクター4へ連行します。」 「了解しました。ストレッチャーをご用意しますね。」 ゲートの向こう、パノプティコンセクター1の様子はいつもと変わらず落ち着いている。どうやら急を要するようなリアライズ事件は起きていないようだ。 「ブラックヒルズの件はどうなりましたか?」 私は八重練・H・鏡華をスキャナーに寝かせ、別の職員に進行中の案件について尋ねた。 「やはり金鉱内にデジモンが存在しているようです。現地のエージェントからは荷電中性子の反応があったとの報告が。」 「荷電中性子…鉱脈付近ですから…アルマリザモンの可能性がありますね。成熟期にしては厄介なデジモンです。エージェントに戦闘データを送って対策をさせておいてください。」 「了解です。」 「コード442のチェック完了しました。不審物等の反応はありません。」 「お疲れ様です。では、連行します。」 彼女が載せ替えられたストレッチャーを押し、私はセクター4への通路を進む。 少し長いその道の先にあるのは、まるで巨大な円筒の中であるかのような、大量の独房が並んだ建物…セクター4・檻房エリアだ。 そこは、今日もひたすらにしんと静まり返っていた。更生プログラムが正常に実行されている証拠である。 通常の人物であればここへと収容するが、彼女の場合は特別だ。 私は中央のエレベーターに乗り込み、操作盤にコードを入力、そしてライセンスを読み込ませる。 『局長クリアランスを認証しました。』 無機質な音声がそう告げると、一気にエレベーターは下へ向かった。 かなりの速度で降りていくそれが止まるまで、大体5分ほど。 その先にあるのがセクター0、この女のための…いわばVIPルームだ。 部屋奥に配置された巨大なカプセルにストレッチャーを接続し、八重練・H・鏡華を収容する。 「ドクトル、セクター0にチップの効果を適応、抽出プロセスを開始してください。」 セクター2に処置を開始するよう通信し、私はそこを後にした。 ━━━━━━━━━ 「………ここは…どこかしら?」 ここは…見る限りは民家の部屋の中だ。 頭が痛む。たしか…ここに来る前は………思い出せない。 私は…何をしていたのだっけ?何もかもがぼやけたような感覚が全身を包んでいる。 「ない⁉︎」 痛みに耐えようと、無意識に頭に手がいった。…角がない。 あの時の戦いで折れた方だけではない、両方…しかも根本から。最初から何もなかったかのようだ。 「…角?」 人間にそんなものがあるわけがない。そもそも私…何で角があるなんて思ったのかしら…? 目の前の机には、どこか見慣れたような古書が置いてある。 手に取ってみると、中身には錬金術についての内容が記されていた。錬金術って…何だったかしら? 「そっか…これ…ワイズモンの…」 あれ…そう言えば何でワイズモンがいないのだろう? …ワイズモンって誰だったかしら? 「お母さん、どうしたの?」 いつの間にか、隣に私をお母さんと呼ぶ、金髪に黒が混ざった髪の小さな女の子がいた。 「あら、ほむら。」 そうだ、この子の名前はほむら。 何もかもがぼやけているのに、その名前だけは輪郭がはっきりとしている。 …でも、ほむらはもっと大きいはずじゃ…そう…大学生ぐらいのはず… 「…さっきから具合悪そうだよ、平気?」 「お母さん…ちょっと疲れちゃってるのかな。」 でも何だか、こうして”母親”として振る舞うと、なぜだかとても安らぎを感じる。 今、この状況に感じる違和感全てが些細なものと感じられてしまうような…大きな安らぎだ。 ━━━━━━━━━ セクター4で行われている『スリープモン』の力で意識を失わせ、『ドリーモン』の力で夢を見せながら、『カリスモン』の力で精神から”悪”を徐々に薄れさせる更生プログラム。 しかし、八重練・H・鏡華に行われる処置は、それとは少し違うもの。 彼女の意識が夢を見ている間に、記憶を辿って情報を絞り出す。それが抽出プロセスだ。 「ドクトル・エルフリーデ、彼女は今何の夢を?」 「うーん…深層心理が望む通りの夢を見られるようにドリーモンに命令してるんだけどー…どうやら小さい女の子といるみたいだねぇ〜。だいぶ混濁してる上にまだらだけど〜どうやらー…娘?なのかなぁ〜。」 娘…戸籍には記載されていなかったはずだ。先ほどの名前がそうか? 「記憶の抽出はどの程度?」 「あんまり進まないねぇ〜…私が知ってる人間の精神構造とはかなり違う…どちらかと言えばデジモンに近いけど…それとも結構違う…。もっと出力を上げて負荷をかければ速く掘り返せるかもしれないけどー…そうなると被験者の体が」 「負荷を気にする必要はありません。出力を上げてください。」 平和な世界に罪人は必要ない。罪状が彼女の言う通りであれば、死刑でも軽すぎるぐらいだ。 「お…?スレイヴ…でいいのかなぁ〜?デジモンを強制的に従わせるデバイスっぽいやつのデータが…断片的だけど取れたかなぁ〜」 プロセスの加速を指示してから程なくして、ドクトルはデータを抽出してきた。やはり彼女は優秀だ。 「ふむ…研究班に回しましょう。進行中の案件で役立つかもしれません。」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・ヴェンナ/venna エストニア語で兄弟を意味するvendの砕けた言い方。…らしい アイメはアルトゥールのことを、アル兄やヴェンナと呼んでいたようだ。 ───────── ・ブラックヒルズ案件 サウスダコタ州に存在する廃鉱山内にデジタルゲートが自然発生、鉱物食のデジモンが複数体リアライズした事件。 中でもアルマリザモンはリアルワールドに存在する金を喰らったことにより、急激に構成データが変化、ファンロンモンへと異常進化を遂げた。 坑道内での進化は崩落の原因となり、現地エージェントは負傷、運用されていたデジモンは彼女を守って消滅した。 その後、ファンロンモンは当時開発されたばかりのプロトD-エンフォーサーを装備した増援部隊によって確保、パノプティコンへ収容された。 この案件は、リアルワールドに存在する物質がデジモンに悪影響を及ぼした事案としてUNDOデータベースに記録されている。