大きなベッドの上には3人。今日も私たちは体を重ねています。 もみ合い、啄み合い、啜り合い、舐め合い。 磯に蠢く魚のように。樹液に集る蝶のように。 蜜を垂らし、垂らした蜜を吸い、誰が誰かも分からないままに。 オットマンに腰かけてコーラを飲み、息を入れていると 目の前にお尻が二つ並びました。尻尾をふさふさと振って、 両手で肉を開いて。その先には親に餌をねだる雛鳥のように ぱくぱくと動く2つの口がありました。上体をベッドに寝かせて はしたなく曝け出すそれは客を誘惑する娼婦の動きに見えました。 ちょっとしたいたずら心をくすぐられた私は脚の間に膝立ちになって 両手の指を3本づつ挿し込みました。片方はお茶をたてるように バタバタと、片方はクリームを作るようにぐるぐると指を遊ばせます。 青とブラウンの尻尾が激しくしなって粘液が私に飛び散りました。 やがて赤ちゃんの手が指を握る優しさできゅぅっと指が締め付けられるのを合図にして ささやかな手遊びは終わりました。2人の尻尾を手ぬぐい代わりに汚れを拭くとむわっとはらわたの臭いが 立ち上ります。…それは確かに、フェロモンとしてに私に作用したようです。 尻尾を持ち上げてその奥まで私は進みます。さっきとはまるで違う、噛み付くような鋭い刺激が走ります。 無遠慮に引き抜いて、また進んで。 往復する度に刺激に酔い、とうとう自由の効かなくなった私は背中に乗っかり、両手で乳房を掴み、 ひたすら腰だけを振りました。 出したい出したい出したい出したい出したい出したい出したい出したい出したい! ただそれだけが頭の中身の全てでした。 あっという間です。我慢というものをすっかり忘れてしまった私の体は だらしなくも精を吐き出します。だというのに腰を止められません。 ぐちゃぐちゃとひどい音と一緒に出したばかりのものを掻き出します。 輪を掛けて激しい刺激がもう次の絶頂を手繰り寄せています。 その最中、私に去来したものは。 「私は一体何をしているんでしょう?」 ─以前私は言いました。この背中を超えられるものなら超えてみろと。 では、その子の背中に覆いかぶさって傷だらけにしてしまった私は? ─分かっています。この問いに意味は無く。 2度目の吐精と共に疑問は私から吐き出され、胎の中へと消えてゆきました。 何度目の絶頂か、数えるのが億劫になった頃。ひときわ肉の締め付けが強まりました。 何かを懇願するようなそれを受けて、ようやく腰が止まります。 身を起こすとそこには無残な姿がありました。 白い肌に滝のような汗を流して。真っ赤に尻を腫らして。 朦朧とした意識の中言葉にならない声で呻いています。 もう閉じる力も残っていない両足の間には泡立った白濁がどろどろと流れ続けています。 私はしばらく茫然としていたのだと思います。自分の不浄さを嘆いていたのか、 征服欲に痺れていたのかは…もう分かりません。 不意に右腕に尻尾が絡み付き、現実に引き戻されます。この部屋には3人が居るのだと。 まだ白いままの尻を振って、同じように自分を満たせと催促しています。 今度こそ、私は自分に呆れました。私の体は既に泡立って、出し切ったはずの 獣欲に憑りつかれました。 ううううううううぅぅぅぅぅっっ!!!!!!!! 半ば自棄のように唸りながら腰を叩きつけると今度はゆるゆる、ふわふわと優しい 粘膜の歓迎を受けました。黄色い耳袋がぴこぴこと動き今彼女が浸っている欲望を物語ります。 味比べができるまでに彼女らの下半身を覚え込まされてしまった事実に軽いめまいを 覚えつつも私はやっぱりただ腰を振り、何度も何度も吐き出して、 そうして彼女を隣とおんなじ肉人形に変えていきました。 大きなベッドの上には2人。行為の痕も乾かないまま、気を失っています。 私は小指を口に含み、先端に犬歯を押し当てました。 でも。ある程度の痛みが走ったところでどうしてもそれ以上顎に力が入らなくなりました。 彼女らの首筋には噛み痕がいくつも。全て私がつけてしまったものです。 ─私には自分の指の薄皮一枚噛み破る意気地もないくせに。 小指の先にはわずかに、血が滲んでいました。 その血を以って私は、彼女らの唇にほんの、ほんの少しづつ指を這わせました。 ルージュというにはあまりにか細く、目覚める頃には消え失せることでしょう。 外からコッコッと霰の音が聞こえてきます。冬の空気が私達を冷やさないように しっかりとカーテンを閉めて、部屋の明かりを落としました。 明日の世界は白く覆われているのでしょうか?それとも常の通りでしょうか? 瞼を下ろしてベッドに上がる私が最後に考えていたのは、おおよそこのようなことでした。